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2007年12月

シチリア島の想い出(4)

治安のお話

シチリアの治安は悪いはずだが、幸いにして私にはその実感がないと先日記した。また、外務省の危険情報が昔ほど生々しい事件の記述を意図的に削除した(らしい)ことも記述した。ちなみに、昔、外務省の危険情報に書いてあった事件例で私の記憶に残っているのは以下のような内容だった。

日本人観光客(中年夫婦)がレンタカーでシチリア島内の高速道路を降りた後、町に向かうローカル道路を走行中、信号待ちをしていたところ、後ろからきた二人組みのバイク強盗にいきなり自動車の後部ガラスを鉄パイプかち割られて、危険を察知して自動車から逃げ出したところ、トランクを開けられ、スーツケースを強奪された、というもの。幸いなことに怪我はなかったとのことであった。

この手の生々しい実際の事件が他に3例くらい紹介されていた。結構手荒い手口での強盗さんがいるようだ。さすがマフィアの島だと思った記憶が残っている。

私自身はシチリア島内でかかる事件に巻き込まれたことはないが、ナポリでは典型的な手口であやうく餌食になりかけたことがあるので、参考まで以下簡単に紹介しておく。

ナポリ中心部の某有名ホテルチェーンに宿泊したが、ナポリ中心部は駐車場が不足しているのでホテルが外部の駐車場と契約していることが多い。今思うと、この駐車場が問題だった模様で、駐車中に後部車輪に釘を打ち込まれたらしい。ホテルの受付と結託していた可能性もある。チェックイン時からめぼしをつけられていたのかも知れない。

チェックアウト後、車をピックアップして街中をしばらく走行しているとパンクに気がついたが、下手にナポリの街中で駐車するとどんな目にあうかわからず危険と思い、とりあえず高速道路に乗り込み、高速道路の路側帯でタイヤ交換をすることにした。後知恵だが、この判断が間違っていた。

停車して2分もすると、陽気なイタリア人が路側帯のすぐ後ろに自動車を停車させ、いわく「修理工場を紹介してやるから俺の車について来い、次の出口で降りよう、ここは危険だからすぐに車を動かせ」と英語で親切なオファをくれた。

今となっては彼が強盗さんなのか、本当に親切な良い人だったのかは定かでないが、私はそのとき、直感的にこの人は「強盗さんだ」と思い、丁寧にそのオファをお断りするも、かなりしつこい。3分間位のやりとりの後、彼はあきらめて立ち去ったが、その際、誰かにに電話をかけていた。どうやらこの場所を連絡している模様。可能性は二つで、観光客を助けるために警察に通報したか、強盗仲間を呼ぶかだ。

タイヤは完全にパンクしており交換なくして走行は不可能。現場から一番近いAVISの店に逃げ込むのも手と思い、AVISのコールセンターに電話を入れて事情を説明すると、若いイタリア人女性の声で、「危険だから、今すぐ逃げなさい」と切迫したアドバイス。どうやらイタリアの高速道路は本当に強盗の巣窟らいいことがわかってきたが、そんなこと言われてもどうしようもない。自力で大至急タイヤ交換し脱出するしか方法がないらしいことは明確となったが・・・・。

AVISの女性に最寄のAVISの場所を確認していると、神の恵みでイタリアのパトカーがたまたま通りかかり、私の自動車のすぐ後ろに停車し、「今すぐ自動車を動かして逃げろ」とこれまた同じアドバス。事の重大さがだんだんずしりとしみてくる。

AVISの女性に、「今警官が二人隣に来て、今すぐ自動車を動かせといわれている」と話したところ、「危ない、偽警官かもしれない、私が確認してやるから電話を代われ」。何がなんだかわからなくなってきた。

しばらく、警官の1名とAVISのお姉さんが大きな声でやり取りを続けていると、もう一人の警官が「ここは本当に危ないのでとっととタイヤを交換して出て行ってくれ」といって、もくもくとタイヤ交換を始めてくれた。

結局、AVISの女性と電話に出た警官はお互いに理解し合えず、「あなたは本当に警察なの、証拠みせなさい」というような無益なやり取り(想像)を延々と5分間くらい続けた挙句、、警官が気の強いイタリア女性に屈服した格好で携帯電話を私に返してきたが、その間にもう一人の警官によるタイヤ交換は無事終了していた。

AVISの女性に現状を説明し、どうやら本当の警官であることを理解してもらい電話を切り、パトカーの先導により路側帯を脱出した。

私の場合は、たまたま本物の親切な警官が通りがかり、事なきを得たが、最悪のケースでは、強盗団が仲間を呼び寄せ身ぐるみはがれていてもまったくおかしくなかったのだろう。

この事件以降、レンタカーで借りる自動車はできるだけありきたりのミドルクラス車に限定し、ホテルからチェックアウトして出発する際には、自動車の4つの車輪にいたずらされた形跡がないかチェックするようになった。

イタリアらしいエピソードで、今となってはお笑いごとであるが、これ位の心構えはしておいたほうが、実際にその場に直面した際にパニックにならずにすむと思うのでご紹介したまで。

でも、こんな局面を経験すること自体、まれだろうから、あまり心配せずにイタリア旅行を楽しみましょう!

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シチリア島の想い出(3)

タオルミーナ

世界的に有名な保養地・観光地で、あの映画「グラン・ブルー」のロケ地としても有名。観光ブックによく紹介される写真は、ギリシャ劇場から右下にイオニア海の海岸線を見下ろし、左上に噴煙をあげるエトナ山を見上げる構図だが、写真と実物とでは迫力がまったく違う。こんな美しい風景は他に見たことがない。(日本でたとえるなら、三保の松原から噴火する富士山を見上げながら、その脇には金閣寺がそびえている構図、とでもなるのかな?) とにかく、老後にぜひもう一度訪れたいと思う景勝地である。

ここでのお勧めはやはり食事。ウニのスパゲティが食べられる。日本人観光客が大量に入り込んでおり、有名なレストランの前には日本語で「ウニのスパゲティ」とメニュが張り出されている。私は2回合計3日間の滞在期間の昼と夜の都合6回のチャンスにすべてウニスパの食べ歩きを敢行した。その中でダントツでおいしかったのは、ウンベルト広場の路地から海側のくだり斜面の細い坂道を入ったところにあるレストランで、記憶が定かでないが、確か'Mama Rosso'(赤おばさん?)というこじんまりとしたトラッテリアだった(と思う)。細い路地は2-3本しかないし、トラッテリアも10数軒しかないので、Rosso(赤)をキーワードにすれば、比較的簡単に探せるのでぜひ探してほしい。レストランのテーブルクロスがすべて真っ赤なのも目印になる。私の知人は上記の情報で無事このレストランをに行き着けたので、きっと大丈夫。

ウニスパの味付けには、ガーリック味とトマトソース味があり、レストランによって異なるがほぼほぼ半々のイメージ。私はガーリック派。トマトソースにするとウニの味が負けてしまう。Mama Rossoはガーリック多目、ウニ多目で、ベストなバランスだった。ウニスパには赤ワインがあう。毎食ボトル1本ずつあけていた(ただの酔っ払いである)。

タオルミーナは高級観光地ゆえ、ブランドショップが立ち並び、物価は高いがどこに行っても英語が通じるので非常に楽。長旅の息抜きにはもってこい。治安も不安はない。ただし、レストランに入る際、客引きをしている店は要注意。客引きをするような店は本当にまずいことが多い。とある料理写真付きの日本語メニューのある客引きレストランに入ったが、ここは本当に悲惨で、「今日の素材はこれだ」と言って調理前の生魚を大皿に入れて持ってきたが、材料が古くてすべての魚が疲れていた。こんなものを食べたら食中毒になると思い、水代として5ユーロ払い店を出た。くれぐれも気をつけましょう!

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シチリア島の想い出(2)

Grappa_2パレルモ

この町は中世の歴史建造物がたくさんあり、それなりに観光を楽しめる。観光の薀蓄は観光ブックにゆずるとして、ここでおいしいレストランのご紹介を。

私は家内といっしょに地球の歩き方に紹介されているレストランからSantandreaを選んで行ってみた。シチリアの家庭料理とのことであったが、ここが最高においしかった。

場所はヴィッチリア市場の裏手というか、サン・ドメニコ教会の裏20mくらいのところにあり、比較的わかりやすい場所にある。昼間にレストランを訪問し、夜の予約を直接お願いする。英語はまったく通じなかったが、トラベル伊会話で十分事足りた。結構観光客慣れしている様子。店の前にメニューが張ってあったがすべて伊語。なんだかよくわからないが、まあなんとかなるだろうと思い、夜の7時ごろに再訪。

注文するのにトラブル可能性が高いと思い、開店の7時調度に訪問したが、すでにアメリカ人観光客の6人組が先客として入っていた。ウエーターが来て、伊語は話せるか?と聞かれるが、もちろんNO。すると、英語を話せるウエートレスが一人だけいるので彼女を待て、と指示された。

アメリカ人の対応が終わってわれわれの席に廻ってきたのは、たぶん学生さんと思われる(アルバイトらしい?)若い女の子。伊語訛りのわかりにくい発音だったが文法は正確。本日の定食メニューをフルコースひとおり説明してくれた。われわれはせっかくだからということで、4品フルコースにチャレンジしたが、これがまたどれをとっても絶品。シチリア料理は、イワシの味付けとパン粉の使い方に特徴があると思うのだが、私はミラノやフィレンツェの高級レストランで食べるのより、この店の味付けの方が好きだ。ボリュームは、最初から覚悟していたとはいえ、すごい量で正直苦しかったが、デザートにいたるまで料理がすべておいしかったので完食した。

具体的な料理名や写真は残念ながら何も残っていないのでご紹介できないが、もう一度シチリアを訪問するチャンスがあれば必ずこのレストランには再訪すると思うほどのお勧めのレストランとなった。

ワインはシチリアの赤ワインのフルボディーのお勧めをたずねて、30ユーロぐらいの適当なものを持ってきてもらったが、シチリア島のレストランで30ユーロも出すと、それはそれはおいしいワインが飲める。シチリアの赤ワインは本当においしいのだ。日本では1300円程度でCORVO(コルボ)が比較的簡単に入手できるが、コルボよりもはるかにおいしいワインがいっぱいある。日本にはシチリアのおいしいワインはあまり入ってきていない。生産数量が少ないので、シチリア島内やイタリア国内の需要にしか回っていないのかもしれない。とにかく、シチリア旅行中、毎晩1-2本は赤ワインをあけていた。今思うとすごく贅沢なことである。

デザートの後にはお決まりのGrappaを注文。ここでもウエイターにお勧めを聞いてもってきてもらったのが、Grappa al Ginepro dell'Etna (写真)。このグラッパがまたまた絶品。普通のグラッパに松の実のようなものを入れて薬草の香りを加えたようなものなのだが、とにかく香りが豊か。名前を控えて翌日から酒屋を探して回ったところ、タオルミーナの酒屋で発見でき、お土産に持ち帰ることができた。日本に帰国後、WEBでいろいろ探してみたが、今のことろ売っている店を見つけたことはない。(売っている店があったら、どなたか教えてください!)。

PS

ちなみに、東京都内(笹塚の近所)には、MUNIRO(無二路)というシチリアンレストランがあるので、シチリア料理に興味がある方はぜひ行ってみてください。昔、あの「堀江さん」がよく食べに行ったことで有名になり、私も家内と休日にわざわざ1時間もかけて食べに行きましたが、本場の味がよく再現できていると思います。おいしいです。

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シチリア島の想い出(1)

このブログで病気ネタを続けていたら、なんだかとっても疲れてきたので、気分転換に病気になる前の楽しかった記憶の引き出しを引っ張りだすことにした。

私は90年代の後半から2000年代の前半まで、欧州の某都市に駐在するチャンスに恵まれた。欧米系の駐在体験を社内で話題に出すとなにかと評判が悪いことが多い(=会社の金を使って遊んでばかりいたと思われてしまう)ので、楽しい旅行計画に資するような情報はいっぱい持っているにもかかわらず、それを役立てるチャンスがないのが実態。記憶がまだ残っているうちに、あれこれ書き留めておくことにしたので、欧州への旅行計画の参考しでもしていただければ幸いである。

まず最初は、一番大好きなシチリア島の想い出から。

私が欧州で一番好きな観光地がシチリア島である。食事がおいしい、海がきれい、ローマ・ギリシャ遺跡が大量に残っており保存状態もよい、物価も比較的安い、自然の景観美もある、気候も最高!、等々良いことだらけ。しかし、それらの長所をすべて足したものとバランスしてしまうくらい治安が悪い(らしい)ことは指摘しておかなければならないだろう。

私は幸いなことに2回のシチリア個人旅行で、危険な目には一度もあっていないので、シチリアの治安が悪いなどという実感はない。(ナポリでは結構危ない目にあったことがある。このネタはいつかチャンスがあれば別途ご紹介する。)

今でこそ、外務省のWEB内にある海外危険情報は、観光団体からの圧力を受けてか、小泉さんの自己責任の徹底の流れなのか裏事情は知らないが、情報が完全に骨抜きにされて、治安状態に関する記述は生命にかかわるような情報以外はほとんどなくなってしまったが、一昔前までは、それはそれは下手なホラー小説よりも怖い記述が満載であった。特に、イタリアやスペインの記述は相当なもので、これを読んだら旅行を取りやめたくなるような話題が多かった。中でも南イタリア・シチリア島の強盗の話題はバイオレンス系で、本当に生きて帰れるのか不安に思えるほどであった。旅行中に強盗に出くわす可能性はきっと最大でも10%程度以下であろうから、あまり心配する必要はないのだろうが、出くわすことを常に想定し、すきのない行動を心がける必要はあると思う。(その意味で、外務省の危険情報の弱体化は非常に残念に思う。あれを読むのと読まないのとでは、気持ちの持ち様が違う。)

シチリア島内は観光ポイントが散在しているので、効率的に回るにはレンタカーが便利。バス便もあることはあるが、本数が限られているので時間制約のある社会人にはちょっときついかな、という感じか。私は2回ともレンタカーを利用した。飛行場は往復ともパレルモを拠点とし、1回目は島内を左回り、2回目は右回りした。

細かな話だが、レンタカーを借りる際の注意点としては、あまり高級車を借りると犯罪者に狙われる確率が高くなるので避けるべし。安いカテゴリーにしすぎると、韓国車になってしまうことが多い。地中海ドライブを韓国車でするというのも若干興ざめの感があるが、かといってイタリア車では故障に出くわす確率が高くなり、治安上問題あるシチリアではお勧めできない。予約の際には、ミドルクラスの車種でドイツ車かフランス車を指定しておくのが無難だろう。また、欧州ではオートマチック車の普及はまだまだ遅れているので、レンタカーでオートマ車指定予約をしていても、現地についたらオートマ車はないということが多い。したがって、オートマ車指定の免許しか持っていない人が、欧州の田舎旅行をレンタカーで回る旅程を立てるのはリスキーであると思う。(また、左ハンドル車のマニュアルミッション操作は、運転したことがないならば、慣れるのに20-30分は必要。事前にイメージトレーニングしておきましょう!)

訪問した観光地は、パレルモ、セジェステ、セリヌンテ、ピアッツァ・アルメリーナ、シラクーサ、タオルミーナ等。それぞれの観光地で、私のお勧めポイントを記述していくことにする。

(つづく)

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ヨガ?系の体験

3年前、顔面麻痺の症状がいつまでたっても改善しないとき、かなり精神的にへこんでいた。鬱状態となり、心療内科に通って軽い抗精神薬(ドグマチール)を時々服用したりしていたが、あまり効果はなく、かといってドグマ以上に強い薬を服用すると、薬が効きすぎて眠くなりますます非活動的になってしまうので、適切な対処方法が思いつかず困っていた。

そんなとき、たまたま朝刊に某ヨガ団体のチラシが入ってきた。ヨガにより潜在能力を開発して積極的な人間になりましょう、というような内容であった。また、人間が出しているオーラを写真で撮影し、その色で健康状態がわかる、という魅力的な話も書いてあったので、よく調べもせずにその団体の開催する勧誘セミナーに出席した。

この団体は、ここではあまり詳しくは書かないが、インドのヨガではなく、東アジアの某国で発展してきた土着系?の精神修業を信奉するものであった。やっていること自体、修行により自分のステージをあげて行きましょうという、どこかで聞いたことのあるような危険な香りがぷんぷんしていたが、対応してくれた人々は本当に純粋によい人ばかりで、宗教的な教義も強烈なイデオロギーがあるわけではないので、武道を習うのとほとんど変わりはないだろうと考え、とりあえず入会することにした。ちなみに、その日にとってもらったオーラ写真の色は、暗い赤と紫でどんよりしており、見るからにグロテスクであった。写真診断で、「あなたのココロはとても傷ついている」などというもっともらしいことを言われ、「ああ、やっぱりそうなのか」とついつい思ってしまったことも、入会の意思を後押しした。

その後、3ヶ月間ほどこの団体の道場に通った。1回1時間コースで週2回以上は通う、というのが基本ルール。(2回まで通うとの、3回以上通うのとでは、月謝が違う。)

修行の内容としては、武道系の簡単なエクソサイズ+特殊な呼吸法の習得、と考えてよい。ビリーのような肉体的に厳しい内容はないので、運動不足の解消にはちょうどよい程度。宗教的な教義の洗脳もない。指導者も本当によい人ばかりで、修業している人々も精神世界に興味があるという点を除けば本当に普通の人ばかり。仲良しサークルの雰囲気。別に続けてもよいなあとは思ったが、この団体の集金システムに胡散臭さを感じたので3ヶ月後にやめてしまった。

集金システムとは、要は進級システムのこと。修行が進んでくると、次のステージに移りましょう、次のステージに移行するための集中合宿が必要です、この合宿に参加すると次の新しい修行方法を教えます、という具合に、効率的な進級プログラムが確立している。やっている本人は皆、はやく自分の能力を開発し、生き生きとした人間になりたいと思っているので、次の合宿に参加しましょうね、と人格的に魅力のある指導者誘われると、ぜひお願いします、となってしまう。しかし、この合宿費用が結構馬鹿にならない。1ヶ月の月謝が1万円程度、さらに追加合宿を受けると1-2万円が飛んでいく。経済的な負担が大きいのだ。

こうした進級(ステージの向上)をばねにした集金システムは、ダイビングスクールの進級システムとまったく同じ。ダイビングショップの経営をささえているのは、ライセンスシステムといわれている。ダイビングの場合、技能の向上をうたって、Open Water ⇒ Advanced Open Water ⇒ Rescure Diver ⇒ Instructor と上級ライセンスを取得する方向にお客さんを誘導する。お客さんの優越感を刺激して金を集めるビジネスモデルだが、このヨガ団体の手法はまさにこれそのものなのだ。(ダイビングの場合、職業としてインストラクターを目指す場合を除き、基本的にはOpen Water以上のものは不必要と断言できる。)

やっている中身・修行方法・効果等については、私は所詮3ヶ月しか身をおかなかったのでコメントする資格はない。しかし、この団体のトップに大量の資金が集中する構造が見えてしまった以上、続ける意欲がなくなってしまった。(実際、この団体の指導者の皆さんはきわめて教義に忠実で、日本でも非常に質素な生活をしている。それが透けて見えるだけに余計に悲しい。)

どうせ精神修養を目指すなら、柔道・剣道・合気道・空手といった日本古来の武道系の門をたたいた方がいろいろな面でリスクが少ないのではないか、というのが今の私の思いである。

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顔面神経麻痺(5)・・・現状と今後

さまざまな治療法を経済的な負担を犠牲にしていろいろ試してきたが、麻痺の回復という意味では、結局のところ鍼灸治療しか目に見える効果は得られなかったように思う。

発病後3年が経過し、初対面の人には、顔に麻痺があるとはまずわからない程度にまでは回復した。しかし、自分では、左の顔が自分のイメージ通りには動かない違和感があるし、左の瞼がどうしても下がってしまい、ぱっと見たところ目の大きさが左右でかなり違ってしまう。発病後初めてあった知り合いには、仏頂面になって印象が変わったな、といわれることもある。

また、後遺症の共同運動も気になる。食事を咀嚼するとき、口を動かすと左目が閉じてしまう。最初の半年はかかる症状はほとんどなかったが、神経が回復し多少なりとも顔が動くようになってから、この症状が出てきた。2年前ごろが一番ひどく、食事中はほぼ左目を閉じた状態であったが、今では半眼程度で済んでいる。やっとお客さんとの会食も精神的な負担に感じなくなってきた。

しかしながら、経済的な事情や時間制約により、鍼灸院等でのリハビリ治療を満足に受けられずに、顔面がまったく動かないまま病状固定となってしまった人も少なからずいることもいろいろな方から教えられた。そうした方々に比べれば、自分はまだまだ恵まれたケースだと思う。

過去半年間くらいの麻痺の改善はきわめて緩やかなスピードとなってきている。共同運動の症状の改善がだんだんなくなってきているのだ。そろそろ回復カーブの飽和点に達したのかもしれないが、あと1年位は鍼灸院通いを継続してみようとは思っている。どこかで治療をやめることになるのであろうが、きっと「踏ん切り」のようなものが必要なのかもしれないと思い、一応来年末をそのターゲットとして設定した。

この3年間、顔面麻痺の治療中心で生活をまわしてしまい、家内にもずいぶん負担をかけてしまったが、その分の償いは、これから倍返しで返していこうかなと思っている。麻痺からの回復が人生の目的のようになってしまい、すごく後ろ向きな生活を送ってきてしまったと反省している。気持ちを強く持って、人生を前向きモードのギアに入れなおすぞ、と誓う今日このごろである。

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顔面神経麻痺(4)・・・治療法④

顔面神経麻痺(4)・・・治療法③

・中国気功整体

これは経営者によって千差万別。中国式整体とは、基本的にはマッサージをする際に気功術を施しながら体のゆがみを直していく、というものらしいが、施術師の技能にばらつきが大きすぎる。よい施術師にめぐり会えるかどうかが最初の難関。

中国には、医者の免許には西洋式の医師免許と、中国式療法を施術する中国医の免許の2種類あるらしい。もっとも、後者の社会的ステイタスは通常免許とは比するべくもないようであり、日本で言えばマッサージ師や鍼灸師のライセンスに相当するらしい。中医のライセンスを取るにはそれなりの医学知識や施術方法を1-2年程度は学習する必要があるので、持っていない人よりは持っている人の方が一般的には技能が上であることが多いようだ。ひとつの目安にはなる。日本にある中国整体の店で、中医の免許を持っている人は、感覚的には3割以下ではないかと思う。(もっとも施術師が真実を述べていればの話ではある。)

また、施術師は店と歩合制で契約しているケースがほとんどなので、ある整体院にお世話になった場合、最初に出てきた施術師が基本対応することになり、他の施術師がバックアップすることはない。それゆえ、その施術師がたまたま下手だった場合、他の施術師にチェンジしてもらうことは不可能で、整体院を変更する以外方法はない。口コミによる紹介がなければ、結構運が左右する世界なのである。

施術費用は、4000円から6000円/時間程度。店によって料金体系がすごく異なるので、比較検討が必要。

私の場合は、たまたま若くて腕のよいい中国人留学生(中医免許あり)に世話になったので、同じく肩こり体質の家内と二人で、現在に至るまで足掛け3年もお世話になっている。

通院のきっかけは、WEBサイトの治療効果欄に顔面神経麻痺が入っていたからではあるが、顔のマッサージは一切なし。総合的な健康状態を改善することにより、麻痺症状を改善していきましょう、ということなので、麻痺症状改善にむけた直接的な効果は期待できない。

肩こりや腰痛には効果はある。お悩みの方はどうぞ、ということだと思う。

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顔面神経麻痺(4)・・・治療法③

顔面神経麻痺(4)・・・治療法③

顔面麻痺からの回復が、当初自分が勝手に想定してよりもずいぶん遅いので、あせりのようなものを感じ、何かよい治療方法がないかといろいろ探しては次々に試してみた。中にはオカルトチックのようなものあり、ある意味面白かった。幸いにして、悪質なものはなかったように思うので、簡単に紹介しておく。

・上部頚椎カイロプラクティック

要約すると、体調不良は背骨のゆがみに原因があり、背骨のゆがみは上部頚椎の補正により人間が本来持つ自然治癒力で矯正していく、という考え方をとった整体法の一派。一般的な整体と違い、力をこめて体をボキボキならしながら矯正することはせず、首の骨を軽く押さえる程度で、実際矯正された実感がほとんどわかない。しかしながら、施術前と施術後の写真を比較すると、確かに背骨のゆがみが矯正されている(ように少なくとも写真では見える)。不思議である。ほとんどの場合、1-2回矯正治療で施術が終了してしまうので、商売としては非常に難しいのではないかと他人事ながら心配してしまうが、つぶれた店はあまり聞いたことがないので、医者に通っても症状が改善されないような麻痺系の病気や、その他難病といわれるような治癒の難しい病気に苦しんでいる人が、常に駆け込んできているということなのかもしれない。

私自身の感想を述べると、即効的な効果が見えにくい治療法ではあり、顔面麻痺の回復に効果があったとは思えないが、費用自体は初診料と1回の施術料で合計1万円程度で悪徳商法的な匂いはしないので、麻痺を含めた健康問題で悩みがあるなら、試してみたらよいとは思う。

私の場合、顔面麻痺ではなく、長年の悩みであった首振りの癖が施術当日からぴたっとなくなったので、それなりに評価してる。私は中学生のころから、ひと昔前のビートたけしのように強烈な首振り癖があった。原因は不明であるが、首にストレスが溜まりやすい体質で、首をバキバキと大きな音を立てて鳴らさないと首が気持ち悪かったのである。1時間に一度は大きな音でバキバキやっていたので、周りの人はずいぶん気味悪がっていたのだが、施術後、当日より首がならなくなった。肩こりも改善方向に向かったが、この療法の効果であるかは評価できない。

・十字式健康法

これについても、WEBにはきわめて大量の書き込みがあるので、それらをこまめに読んで自分なりの判断をしたらよいと思う。私の個人的な意見は、この団体は、母体がキリスト教の一派ではあるが宗教への入信勧誘はほとんどないこと、営利目的の組織運営をしているようにはまったく思えないこと(少なくとも、組織への集金システムはない)等により、いわゆるカルトとは一線を画しているといえると思うので、興味があれば、ものは試しでやってみるというのはまったく問題ないと思う。(本人の悩みがどの程度深いか、による。)

私は戸塚と品川の会場に、合計3-4回通った。「シュッ、シュッ」と気合をこめながら「気」を注入して病状を回復させるということなのかと思うが、今思うと、「気」を注入する前に、背骨から首にかけて触診し、「首が曲がっていますね」と言いながら首の骨をぐいぐい押さえていたので、ベースになる考え方は、先に述べた上部頚椎カイロプラクティックと考え方が共通しているのかもしれない。

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顔面神経麻痺(4)・・・治療法②-2

② 鍼灸治療(その2)

私が今でもお世話になっている船橋の鍼灸院は、顔面十数箇所+α(ノウハウの開示に当たる可能性があるのでここでは秘匿する)に鍼を打つ。全身総合治療方式ではなく、基本的には顔面のリハビリを志向した治療方法で、1回の治療時間は30分程度。

患者さんのことを考え、朝8時前から夜の21時ごろまで開院している。過去。朝・昼・晩とあらゆる時間帯に予約を入れて診療していただいた経験があるが、この鍼灸院はいつでも患者さんでいっぱいで、休む間もないように見受けられる。世の中にはこんなにたくさんの顔面神経麻痺の患者さんがいるのかとつくづく実感させられる。やっぱり世の中病んでいるのかなあと。

顔に鍼を入れると、その後半日間くらいは顔面が火照るので、血流量が増加しているのは確実に実感できる。きっと、星状神経節ブロックと治療効果は同じようなイメージなのだろう。

私の場案、出張等の関係で1週間くらい鍼を打たないと、だんだん顔の筋肉(特に頬)の動きが悪くなってきて、左目の瞼が上がりづらくなる傾向があるが、鍼を打つと症状は改善される。このように症状の改善が実感できるので、日々の改善はわずかではあるが、治療を継続できているのだと思う。

鍼灸治療の効果を客観的・定量的に評価することは難しい。私という人間が2名いて、一方には鍼灸治療を実施し、もう一方には治療をせず、半年後に病状を比較する、などということができれば別だが、そんなことはできるわけもなく、したがって、症状が改善する人はなにもしなくても時の経過とともに改善しただろうし、改善しない人はどっちみち改善しなかったのだろう、という議論を否定する証拠を提出することはできない。

それでも、私の個人的な経験から意見を述べれば、鍼灸治療は、たぶん効果があると思うので、経済的な余裕があるなら、やった方がよい、ということになる。

発病当初は、顔面麻痺の8割方の患者は発症後3ヶ月もすれば完全に回復する、というWEB情報を信じ、きっと自分もその8割の中に入っているに違いないと根拠のない確信を持っていたので、治療も短期決戦を目指し、船橋に週2-3回、横浜の鍼灸院に週2-3回、さらに星状神経節ブロックも週2-3回やっていた。(私は保険マニアで、入院により焼け太りしてたのいで、当初資金は潤沢だった。もっともこんな無茶をやっていたので、すぐに底をついたが・・・)

発症後、3ヶ月程度の上記のような無茶な治療を通しての症状改善は、費用対効果の面では決して芳しくなかったように思う。眉が若干上下に動くようになったのと、まぶたに力が入るようになり、瞬きが普通にできるようになったことくらいか。また、発症当初出ていた複眼の症状は、3ヶ月後にはほぼほぼなくなっていた。

麻痺の症状に目に見える改善が見られ始めたのは、治療を始めて半年くらいたった2005年8月ごろだったと思う。8月になると、麻痺していた左顔面が「ピクッ、ピクッ」と不随意にかるい痙攣をはじめたのだ。これは顔面神経の浮腫によりダメージをうけた神経が再生し始めて、顔の筋肉に電流が流れるようになった証左とのこと。この症状は2-3週間続きいたあと、おさまった。その後、顔の動きは、毎日僅かずつではあるが徐々に改善されていったように思う。

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顔面神経麻痺(4)・・・治療法②

② 鍼灸治療

入院中にWEBで情報を収集したところ、顔面神経麻痺の治療には鍼灸治療が良好らしいことがわかった。私は結局、発病後本日に至るまで約3年間鍼灸院に通院し続けている。頻度は当初は週に3-4回、1年目からは週3回、2年目以降は週2回といったイメージ。鍼灸治療も神経ブロック同様、日々はっきりと症状の改善がわかるようなことはないが、顔に直接針を打ち込むので、顔の感覚のない時期には気持ちがよいこと、当初回復期にあっては、針を打った後の方が顔の動きがよく感じられること、顔以外に肩や背中のこりの治療も同時にお願いできること、等の理由により、かかる長きにわたって継続するにいたっている。代金は、治療院により異なるが、顔面麻痺だけなら最低3000円、総合治療となると4000円から5000円といったところ。正直経済的な負担は大きいが、将来娘の結婚式にゆがんだ顔で出るのはいやだという一心で、ぐっとこらえて耐え忍んでいる。

などなどと書いているが、結局のところ私は、鍼灸が好きなのである。

顔面神経麻痺を発病する前、極度の肩こりに悩まされていたことは過去に書いた。この肩こりの症状改善には、非常に効果があるのである。

入院後、最初に通った横浜市内の鍼灸院は、そこそこはやっているだけあって腕のよい先生で、顔だけでなく身体全体の治療を目指す総合治療の手法をとっていた。顔には、2ー3ヶ所のツボに針を打つのみで、後は首・後頭部・背中のツボに10ヶ所程度の針と背中に10ヶ所程度温灸を実施していた。

顔には3ヶ所程度しか針を入れないため、あまり効果を実感できなかったが、首と後頭部のコリはかなり和らいだ。コリが溜まって悪い「気」が溜まっている部位に針を入れると、激痛が走る。治療をはじめた初期の3ヶ月間は、首・後頭部・肩、どこに針を入れても激痛が走ったが、この痛さが快感に変わるのである。

治療を継続すると、針がスムーズに入るようになり、痛みを感じなくなる。症状の改善とともに、最近ではすごく体調の悪いとき以外、あの「いた気持ちよい」快感は味わえないが、確実に症状の改善を実感できるので、ついつい継続してしまうのである。

結局、この最初に通院を開始した鍼灸院にはその後2年間通院した。最初の半年は週2回、その後週1回ペースに落とし、2年目以降は顔面麻痺の治療というよりは、体調悪いときに不定期に通院、という具合に使った。

このように頻度を落としていったのは、顔面神経麻痺に関する質問をしても、先生にあまり知識がなく、患者さんも比較的軽い症例の患者さんしか扱っていないような印象を受けたからだ。

この鍼灸院は家から近いので便利であったが、顔面麻痺の治療の専門の鍼灸院を探したほうがよいと思い、他を探すことにした。グーグルで「顔面神経麻痺 鍼灸院」をキーワードに検索をかけると、関東エリアでは、なぜか千葉に顔面麻痺の専門の鍼灸院が多いことがわかる。鍼灸院は個人開業の零細企業がほとんどでホームページを開設していりることが少ない上、鍼灸院自体が高齢者をターゲットとしているので、そもそもWEBにホームページを出すこと自体まれなのだろうが、千葉にその多くが集中していることはまったくのなぞ。顔面麻痺患者が歴史的に多いのか?

それはさておき、家からも会社からもなんとか1時間程度で通えるということで、船橋市内の「この業界」では有名な鍼灸院に通院することにした。発病後、1ヶ月くらいの事である。

(つづく)

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顔面神経麻痺(4)・・・治療法①

① 星状神経節ブロック

入院中にWEB情報で、星状神経節ブロックという療法が顔面神経麻痺に効果があるという情報を得た。東京のど真ん中にある耳鼻科専門の大病院では、顔面神経麻痺の入院患者にはこの療法を毎日実施していると書いてあったので、私も入院していた病院の主治医にこの療法の採用を求めたが、最初はきっぱり拒否された。

この療法は顔面麻痺に対する効果が学術的に立証されていない上、その病院の麻酔科は手術対応であり外来患者を受け入れる体制になっていない、というのがその理由。

でも、顔が動かなくてすごく不安になっている患者にとっては、副作用さえなければ、効果が少しでもあるといわれている療法は、何でも試してみたいわけで、「だったら近所の麻酔科に通うので朝晩外出許可を出せ」と主治医にごねたら、麻酔科の先生に交渉してくれて、入院期間中、この療法を特別に対応してくれることになった。

仰向けに寝た状態で、のど仏の骨に針が届くまで、真正面からブスッと注射をするので、正直怖い。いつも緊張した。のど仏に針が届いたあと、注入される麻酔薬がのど仏に当たる音が、骨を通じて「ちょろちょろちょろ」と内部振動で聞こえてくる。不思議な感覚である。

効果は正直よくわからない。注射直後、左顔面の血流が非常によくなり、左目が充血し、顔が真っ赤になることもあれば、まったく変化がないこともある。体調によっても、麻酔薬が当たる部位によっても効果に差異があるようだ。

入院期間中の約2週間は朝晩2回、退院後は週2回、通勤前に治療をしてもらえる日本橋にある麻酔科の開業医に通院し、この療法を続けたが、金がかかる(病院によって異なるが、1回3000円から4000円)割りに、効果が見えにくいので、3ヶ月ほどでリストラしてしまった。

私のような症状が重篤なケースは、この療法は、少なくとも顔面神経麻痺にはあまり効果がないような気がする。

この療法を通じて、医者の世界に麻酔科という分野があり、個性的な面白い先生がたさんいらっしゃることを認識できたことが楽しい思い出である。

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顔面神経麻痺(3)・・・病状

話は前後しますが、病状の変化について記します。

発症当日から1週間くらいは、麻痺の程度が日々悪化していきました。症状的には、

(1)目がうまく閉じられなくなり、涙がでる ⇒ 角膜保護のため、2週間程度は眼帯をしていた

(2)食事のとき、左頬にものが溜まる

(3)食事のとき、口内の左の頬の側面をかじってしまう

(4)最初は左顔面が「スースー」する感じだったものが、しっかり麻痺のしびれ感に変化

(5)複眼(ものが二重に見える)らしき症状

入院後、ものがみえずらいので、病院内の眼科に視神経のチェックしてもらいましたが、「視神経には異常は見られない。目の乾きからくる一時的なものでしょう」という診断。複眼の程度こそ除々に回復して行きましたが、その後3ヶ月程度は極めてものが視ずらい状況が続きました。PCを見るときは、片目をつぶらないと文字が読めない程でした。

勝手な素人の浅知恵ですが、私の顔面神経麻痺は、そんなものがあるのかどうかも知りませんが、中枢性と末梢性のマージナルな症例で、もしかすると軽い脳梗塞が原因だったのかなあと勝手に思っています。

麻痺は顔面に限られており、他の身体部位でのしびれ・麻痺はないことから末梢性で間違いはないとは思いますが、この場合複眼の症状の説明がつきません。また、具体的・客観的な説明ができませんが、退院後、集中力と記憶力の激しい減退に悩まされました。記憶力の低下により、あまり同じことばかり聞くので、同僚からばか者あつかいされてしまい、上司からも一部の仕事を没収されてしまうことになったほどです。

私が今後悔していることは、複眼の症状があったにもかかわらず、脳神経外科の診断を受けなかったことです。CTかMRIくらいやって脳の状態のチェックくらいは受けるべきでした。しかし、そもそも「複眼」という言葉も知らず、知識がなく脳梗塞の可能性すら当時は疑っていなかったのでどうしようもないのですが・・・・。

私の場合、顔面麻痺発症の1週間位前から、今思うと「前兆」らしき現象を経験しています。

お酒も飲んでいないのに、ある時間帯の記憶がまったく欠如しているのです。記憶が飛んでいるのです。スケジュール表を見ると、商社との商談の予定が入っており、明らかに人とあった形跡が残っているのですが、その記憶がありません。これは人生の中でもなかなか経験できない恐怖体験です・・・・。幸い、これは1回限りの経験ですが、「俺は疲れているに違いない」、と自分を納得させようとしていました。でも、これって脳梗塞の前触れのひとつなんですってね。

また、顔面麻痺発症の半年位前から、半端でなくひどい肩こりに悩まされていました。2004年の11月に家内と台湾旅行にいった際、マッサージ屋に行ったのですが、マッサージ師が「こんな固い肩は初めて。異常」とか言って、渾身の力をこめて肩をたたきまくったにもかかわらず、少しもほぐれず。マッサージ師ときたら、最後は隣の同僚を呼び寄せて二人がかりでぼこぼこ叩きはじめましたが、結局ほぐすのをあきらめてしまったほどです。決して誇張ではありません。ひどい肩こりも脳梗塞の前触れのひとつなんだそうです。

さらに高血圧。私は典型的なメタボ男で、血圧は当時は高いほうで150を超えていました。

上記のような理由から、脳梗塞起因の中枢性を疑ってはいるのですが、所詮素人のたわごとです。

私の経験からアドバイスできることは、複眼の症状が出ているなら、中枢系の可能性を疑い、医師に相談し、脳のMRIかCTによる検査くらいやってもらうべきだ、ということです。

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顔面神経麻痺(2)・・・入院

2005年2月5日(土)-23日(水)

入院の間、体は健康なのに薄味の病院食ではものたりないと感じたのを覚えている。

なにせ大量に時間があり暇なので、病室には会社のPCを持ち込み、メールを読んで仕事をするとともに顔面神経麻痺に関するWEBを読み漁った。

私が病院した病院の治療プログラムは、ステロイド投与(6日間)と低周波刺激によるリハビリのみで、基本は2週間で退院ということであった。

ステロイド投与は、ただの点滴治療であるが、薬が強いせいか結構疲れた。背中は、その後1ヶ月くらいは「ステロイドにきび」といわれる発疹のに覆われた。これは薬の副作用なのだそうだが、見た目が悪いこと以外、実害はない。

低周波刺激のリハビリに関しては、最近でこそWEB情報では、禁忌すべき治療法として一般的になりつつあるようであるが、当時はまだまだ少数意見だったので、入院期間中は先生の指示に従い毎日やっていた。(その後、退院後にお世話になった鍼灸院の先生から低周波は絶対だめ、と指摘を受けて、病院のリハビリ科への通院をやめた。)

ネットサーフィンにより、星状神経節ブロックや鍼灸治療が有効との情報を得ていたので、この病院でも対応してもらえないかと主治医に相談したところ、前者については麻酔科の先生と話をしてもらい、入院期間中は朝と夕方の2回、やってもらえることになった、というかごり押しした。この病院には外来の麻酔科はなかったので、最初はブロック注射は対応できないとの対応であったが、ならば入院期間中に病院の近所の麻酔科の開業医に通院するので外出許可を出してほしいと交渉したところ、最終的には先生が折れた格好。いやな患者である。

鍼灸治療についても、上記同様入院中の通院の外出許可を求めたが、こちらは却下。ブロック注射で無理を聞いてもらったので、こちらは小生も引き下がった。退院後に備え、入院中に通院可能な評判のよさそうな鍼灸院をネットであたりをつけることにした。

主治医が入院中の外出許可を出したがらないのは、ステロイド治療の副作用で免疫力が落ちており、感染症の心配があるからだ、とのことであった。

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顔面神経麻痺(1)・・・発病

ここ数年間で私の人生に一番大きな影響を及ぼした顔面神経麻痺闘病記を記録に残します。2005年の1月発症、約3週間の入院、その後約3年間の鍼灸院治療をしましたが、症状が重篤だったため、いまだそこそこの後遺症が残っています。(病院では、ベル麻痺と診断されました。)

2005年1月31日

夜行便で出張先のハノイから成田に帰国しそのまま会社に出社。商社と商談をしている時から、なんだか左顔面(目から頬にかけて)が「スースー」する感じがして落ち着かない。疲れがたまっているのかな? とは思ったが、仕事も溜まっていたので夜の8時ごろまで通常通り仕事をこなし、9時過ぎに帰宅。

あいかわらず顔の「スースー」感が治らないので、洗面所に行って顔を見た。「なんだか顔がゆがんでいるなあ」とは思った。しかし、その直後、うがいをしてみて初めて「何か」がおきていることを認識した。なんと、うがい出来ないのだ。左の頬がまったく反応しないので、左の唇から水がだらだらこぼれてしまう。

「大変なことになってしまったようだな?(まだ半信半疑)」ということで、急いでグーグルで検索開始。「顔面 麻痺 うがい 水漏れ」位で検索をかけ、いくつかのWEBをチェックして、世の中に「顔面神経麻痺」なる病気が存在することを始めて認識した。

末梢性・中枢性に大別され、末梢性はさらにベル麻痺とハント症候群に分類されることなどの知識を得る。また、この病気は、まずは耳鼻咽喉科で診察してもらうことが一般的であることがわかった。この時点では、まだ麻痺が始まった初日であり、症状も軽かったので、2-3日したら近所の耳鼻咽喉科にでも行ってみてもらうかな、八割方の人は2-3ヶ月もすれば全快するらしいし、程度にしか思っていなかった。

WEB情報でとりあえず、わけのわからない不安からは開放されたので、翌日は中国地方に新幹線で日帰り出張の予定だったこともあり、この日は軽く夕食をとった後で早めに就寝した。

2005年2月1日

朝起きて歯を磨くも、あいかわらずうがいが出来ない。顔が「スースー」する感覚も収まらない。別に体調が悪いわけではないので、出張するため新横浜駅をめざして家を出た。新横浜駅に向かうローカル線の駅をひとつ通過した電車内で、なにか妙な胸騒ぎがに襲われたので、急遽出張のキャンセルを決断し、次の駅で電車を降りて、いっしょに出張予定だった会社の同僚に携帯電話をかけた。いつもの癖で、電話は顔面麻痺の症状が出ている左耳にあてて、コール音を待つ。

「プルルルルルル------」

この世のものとは思えない爆音が耳を劈いた。何が起きたのか理解できなかったので、この時はただ単に小パニックに陥っただけだったが、後に入院先の耳鼻科の先生から、電話のように直接鼓膜に振動を与える音刺激には、顔面神経麻痺の患者は過敏に反応することがあることを教えられた。(振動を聴覚に変える部分に顔面神経がかかわっているのだそうだ。)

携帯を右手に持ち替え、出張のキャンセルを連絡し、家にリターン。家の近所の耳鼻科を探して通院したが、まさに花粉症のシーズン真っ盛りで、2時間言以上待たされた挙句、やっとのことで診察してもらえたのは、すでに正午をまわっていた。問診を受けるなりその医者からは、「うちの手には負えませんので今すぐ病院を紹介します」と言われ、唖然。午後はどこの病院も初診患者の受け付けはしていないとのことなので、翌日の朝一番で、紹介された近所の救急指定病院に行く。診断結果は、「ベッドが確保出来次第入院しなさい」とのこと。事の重大さに改めて気づかされた。

若干パニック気味でもあったので、そのまま医師の診断に従い、その病院での入院を決定したが、結果的にはこの判断は間違っていたと思う。たぶん、かなり一般的にいえることだと思うが、「顔面神経麻痺」は専門性が高い病気なので、どうせ入院するなら専門家に任せたほうがよい。最新の治療方法や鍼灸治療まで受けられる病院もある。しかしながら、普通救急指定病院には、もちろん耳鼻科の先生はいるが、顔面神経麻痺に関するプロは稀なのである。今ならインターネットで顔面神経麻痺の治療に力を入れている病院は比較的簡単に探せるので、自分で評判のよい病院をチェックして、入院先を決めるべきだろう。

結果的には、私の病状はかなり重篤で、病院を退院する段階で神経の麻痺の程度を測定したところ、右顔面比で14%しか反応しなかった。その後の3年間にわたる鍼灸治療にもかかわらず、現在でもそこそこの後遺症が残っており、自分から言わなければ対面の話し相手は気づかない程度ではあるが、左顔面の動きは悪く、共同運動も残っている。顔面神経麻痺の治療は発病後1-2週間が勝負の別れ目というのが常識となりつつあるようで、この時期に自分が思うような治療が受けられないことは、後から大きな後悔となる。後遺症に悩まされるのは自分なのだから。

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